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2008年6月25日 (水)

ダビング10とか補償金とか一体誰が何を騒いでるの?

最近またダビング10だの私的録音録画補償金だのという話題が盛り上がってますね。

なんだか議論が白熱(泥沼化)して何が何だかわからなくなってしまっているので、ダビング10の開始日合意、という節目に合わせて、ちょっとこの問題について整理して、なるたけ分かりやすく概説してみようと思います。

まずはこの私的録音録画補償金(以下補償金)問題の構図を捉え直しましょう。

争っているのは「メーカー」と「権利者」です。
報道では電子産業なんちゃらとかなんとか委員会とかいろいろ出てきて何が何だかわからなくなってますが、シンプルにしてしまえば”メーカー vs 権利者”という構図になります。

メーカーというのはDVDレコーダーやMP3プレイヤーなどを製造・販売している電子機器メーカーを指します。ソニーとか松下とかのことです。
これらメーカーは一様に補償金は不要であると主張しています。

権利者とは著作権を持っている人たちのことです。
演奏家などのクリエイター、自分の作品を他者に公開して稼いでいる方々です。
そして権利者は補償金が必要だと主張しているのです。

この2者の間で主張が対立して、争いになって、今のややこしいことになっているというわけ。

では補償金とは何でしょうか。
著作権法第30条ではコンテンツ(音楽など)を個人的に使うためなら自由にコピー(録画・録音)してもいいよ、と定めています。これは個人利用という狭い範囲でならコピーされてもさほど権利者の利益が損なわれることはないだろうという考えからきています。
しかしデジタル化が進んで誰でも、簡単に、大量にコピーすることができるようになりました。このような状態だと、個人利用の範囲であってもたくさんコピーされて、全体的に見ると権利者の損失が甚大になるんじゃないかと危惧されたわけです。(実際に損失が増えたかどうかは分かりません)

そこで導入されたのが「補償金」。権利者の損失分を”補償”するお金です。
法令で定められた機器にコンテンツをコピーをする時は著作権者が損するだろう分のお金を別に払って下さいねということです。
しかし実際にはコピーをする時にそのつど補償金を払うというのはいろいろ大変なので、あらかじめ録画・録音用の機器の価格に補償金が上乗せされています。本来コピーしたら払うべきお金をあらかじめ払っているわけで、仮にユーザーがその機器でコピーをしなかったとしたら余計なお金を払わされていることになりますね。
(このためにいわゆるiPod課金だとかPC課金の是非が問われているのですが、ここではその議論はパスします)

さて、補償金がどういうもので何のためにあるのかが分かったところで話をダビング10に絡めていきましょう。
地デジ普及が遅々として進まない原因はコピーが1回しかできなくて不便なことだ!と考えた国はコピーできる回数を増やそうとメーカーや権利者たちに提案します。
メーカーとしてはコピー回数が増えて地デジが普及してくれればTVやレコーダーが売れるようになって嬉しいのでこの提案に賛成です。
しかし権利者はたくさんコピーされると自分達の損失が増える(と思っている)のでイヤだと突っぱねます。
詳しい経緯は省きますがいろいろと熱い議論が交わされたのち、「じゃあ10回までコピーOKにしよう」という結論になりました。これがダビング10です。

国とメーカーはとりあえず希望通りコピー回数が増えてうれしいわけですが、自分たちが損をすることになった(と思っている)権利者達は黙っていません。
「コピー回数を増やしてあげたんだからその分補償金も増やせ!」と言ってきたわけです。
メーカーとしては補償金が増えればその分レコーダーなど機器の値段が見た目上増えることになって売り上げも落ちるから補償金の増加は受け入れがたい。
議論はグダグダの並行線を辿ることに・・・
これがいわゆる”補償金問題”ですね。

さらにダビング10開始に向けた準備が大体整ってそろそろ具体的な開始日を決めましょうよ~という頃合になってこの問題が表面化します。
権利者側は補償金増加の話にメドが立たないままダビング10が始まってしまうとまずいので「補償金問題が進まないならダビング10も無効だ!」と騒ぎ出して開始日についての議論を強引にストップさせてきたのです。
これによって補償金問題はどんどん泥沼化します。

イラついたメーカーが「権利者がダビング10を補償金問題の人質に取っている」と批判すれば、権利者は「メーカーの話に一貫性がないのがいかん」と逆批判。早く地デジを普及させないとまずいと焦った国が仲裁に入ろうとすると今度は「せっかく決まりかけてたのにメーカーは国を使って圧力をかけてきた。ちゃぶ台返しだ!」などと騒ぎ出す始末。

そんなこんなの消費者には見えないところでの訳の分からない議論(というかなじり合い)が続いていたわけですが、つい先日、6月19日に急展開を迎えます。
権利者側がひとまず折れる形でダビング10の開始日が”7月5日ごろ”という合意に至ったのです。(その後開始日は7月4日午前4時に正式決定
あまりの急転直下の決定に誰しも驚きましたが、これでとりあえずダビング10については話がついたということになります。

なぜ急に権利者側が折れたのか、その真意はまだ分かりませんが、補償金拡大をあきらめたわけでは決してないようで、「”大人の対応”をした。メーカーも見習ってほしい」「譲歩は消費者への問いかけ」「(補償金問題は)今後も長い目で議論をしていく」などと(挑発的な)コメントをしています。

このようにダビング10の開始日が決まったからといって全て解決!というわけではなく、メーカーと権利者との間にある認識の溝は依然深く険しいまま残っています。今後も補償金問題は大きな問題として議論が続くことでしょう。

・・・というのがダビング10、補償金問題の今日に至るまでの概説。
本当に大ざっぱに、細かいところはバッサリ切り落とした説明です。
もしかしたら間違っているところもあるかもしれませんがお許しを。

メーカーと権利者、単純にどっちが良い悪いと決めることはできませんが、今回のダビング10に限っては権利者側の対応にやや疑問符が付くことが多かったように思います。
ちなみにここまで読んでいただければわかるように、これら一連の騒ぎに我々消費者はほとんど登場しません。ダビング10も補償金も消費者にこそ深く関わる問題であるにもかかわらずです。
今後のコンテンツのあり方、消費者と権利者との関係を決める大事な議論に我々消費者がほとんど参加できていない現状は憂慮すべき問題であり、何とかしてほしいものです。

◎関連リンク
「メーカーは“偉大なる将軍様は絶対”と言っているのと同じ」-補償金問題で権利者会見。「ダビング10譲歩は大人な対応」(AV Watch)
「ダビング10」開始日は7月5日ごろ。近日中にDpaが確定-急転直下の決着。「ダビング10に限り補償金と切り離す」(AV Watch)
「ダビング10を人質にしてはいない」。権利者団体会見-「“あるメーカー”と経産省が、ちゃぶ台返し」(AV Watch)
JEITA、「ダビング10」延期と補償金について公式見解(AV Watch)
権利者89団体が補償金問題でJEITAに2度目の公開質問状(AV Watch)
「ダビング10」開始日が7月4日午前4時に決定。Dpa発表(AV Watch)

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